英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

フリーランチはない

 FTに寄稿したサマーズ氏の記事。
 トレードオフ、というのが経済学の中心的な問題で長らくあり続けてきた。経済学の中心的な考えの一つを一種の警告の形で示したのが次のような教訓だ。
 「フリーランチのようなものは存在しない」
 家計や社会が多くのトレードオフに直面しているように、経済学者たちもいくつかある政策の中から、競合する目的をより分け、選択しなければならない。
 もしすべての変化が必ず勝者と敗者を作り出し、民主的決定をするために拒否権を等しく配分されるなら、ほとんど政策変化は起きないだろう。
 しかし、このフリーランチという概念はあまりに物事を単純化し、経済学を陰鬱な学問にしてきた。
 ここで具体的にサマーズ氏が取り上げているのは、米国のヘルスケア改革の例だ。2010年に法律が成立して以降、従来の伝統的な考え方が間違っていたことがわかった。保険の対象者の範囲は大きく広がり、コストはGDPの成長の範囲内におさまっている。公的保険や民間保険財政にむしろ良い効果を与えている。
 結論として、トレードオフ問題は制約ではなく、むしろチャレンジである、というものだ。世の中には多くのより割安なランチが転がっている。それらを見つけ出す努力が必要、というものだ。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/2/43f9002e-cc04-11e5-a8ef-ea66e967dd44.html#axzz3zWeLZjva
 Gavyn Daviesより。
 http://blogs.ft.com/gavyndavies/2016/02/07/global-growth-now-fraying-at-the-edges/