英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

雪崩

 爆弾低気圧が通過中。空は晴れているが、強い風が残る日曜日。
 マネタリーベースをいまの2倍にする、という黒田日銀の金融緩和に大きく振り回された週末。10年国債の利回りは、0・325%から0・65%の間をいったりきたりした。その債券市場のスウィングぶりをこの記事は伝えている。
 野村のアナリストは、新しい日銀の買い入れサイクルに慣れてくれば、市場は落ち着きを取り戻すが、少なくとも最初の期間はトライアル&エラーが続くだろう、と述べている。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/169e0792-9dc6-11e2-bea1-00144feabdc0.html#axzz2PkK8yPsw
 今回の日銀の超金融緩和政策は、保有現金の価値を落とすことを約束し、安全資産とされる国債市場から民間投資家を追い出す政策である、と解説している。
 悲観論者からは、黒田日銀の大胆な金融緩和政策のリスクを指摘する声が相次いでいる。その一人がジョージ・ソロス氏。円がコントロールできない形で下落する危険性がある、と指摘している。ソロス氏は「avalanche」(雪崩)のように円が下落するかもしれない(the fall may become like an avalanche)、と評している。
 今回の超金融緩和によって、今後2年間は、実質的には政府の発行する国債をすべて日本銀行が買い占めることになる。そして、日銀がすべてのイールドカーブ保有し、民間銀行がそれに立ち向かって取引をすることができなくなる、という。
 また、今回の金融緩和は2001年や2006年に行われた量的緩和とほとんど違いはない、という意見もある。01年や06年は結局デフレ脱却に失敗した。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/44ea6292-9de6-11e2-bea1-00144feabdc0.html#axzz2PkK8yPsw
 日本の金融政策が世界の債券市場をかく乱する、と指摘した記事。欧州や米国の債券市場でも利回りが低下した。たとえば、フランスでは10年債と30年債の金利が下がった。ドイツの30年債の金利も昨年7月以来の低水準に落ちている。米国も、雇用統計の数字があまり良くなかったことも後押しし、10年債の金利は4か月ぶりの低水準に落ち着いている。
 日銀が世界の投資コミュニティをショックに陥れる、と評している。
 ほとんどの金融機関が、「中央銀行に逆らうな」「資金を海外資産や米国債に振り向けろ」というフレーズに従っている。
 新たな投資先を求める資金は、安全資産とみなされる米国債に向かい、スペインやイタリアなどのハイリスク債券に流れる資金もあった。 http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324600704578406530846134410.html?mod=WSJEUROPE_hps_LEFTTopWhatNews 
 日銀は日本の金融市場に火をつけたが、それが日本の実体経済に広がって燃え盛るかというと、そうではないかもしれない。
 http://online.wsj.com/article/SB10001424127887323646604578404161692943512.html?mod=markets_newsreel