英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

債券バブル

 今日から11月。このところ、朝夕がめっきり寒くなった。早いもので、今年もあと残すところ2ヶ月だ。ブラジルでは初の女性大統領が誕生し、ロシア大統領が、同国大統領としては初めて、国後島を訪問した。

 今週は大型の行事が目白押しだ。米国の中間選挙は、民主党の大敗が予想されている。
 http://www.ft.com/cms/s/0/259f11c6-e524-11df-8e0d-00144feabdc0.html
 オバマ大統領は中間選挙に向け、最後の努力をしている。だが、下院では共和党過半数を獲得する見通しだ。
 地元のイリノイ州を含む遊説で、オバマ大統領は、共和党への投票は金持ちへの税制優遇を意味する、と訴えた。
 もし共和党が勝利するなら、それはオバマ政権の政策の否定を意味する、という。重要な要素の一つが経済だ。共和党が勝利すれば、公約に掲げている1000億ドルの歳出をカットし、オバマのヘルスケア改革法を変更することになるという。
 ただ、上院の過半数を得るほどの勝利を共和党が得ることはできない見通しだ。
 
 それほどオバマ政権の動きを追っているわけではないが、それにしても、政権誕生時の熱狂とは打って変わった不人気ぶりだ。何がオバマの不人気を招いているのだろうか。
 
 クレジット市場に関する評論。
 http://www.ft.com/cms/s/0/d7abb7c2-e51d-11df-8e0d-00144feabdc0.html
 住宅ローンの金利が、今まで見たことがないほど低下している。ただ、既存の借り手はレバレッジをかけ過ぎているので、その恩恵を得ることはできないでいる。金利は歴史的な低水準にあるが、多くの家計や経済は、信用バブルの破裂の後遺症に苦しみ続けている。
 2008年の危機後、安全な投資先を求めて、かつてない規模の資金が債券市場に流れ込んでいる。米国債から新興国社債まで、幅広い債券のパフォーマンスは非常に良い。
 しかし、低金利環境が終わりを告げると、この債券バブルも終わる。
 ただ、短期的にみると、借り入れ金利は一層の低下が予想される。今週はFedが米国債の買い入れをスタートさせると見込まれている。
 問題は、2年に及ぶゼロ金利政策と大規模な財政刺激策にも関わらず、米国の経済は期待するほどの力強い成長を見せていないことだ。量的緩和策の効果はあまりない、と経済学者や投資家が思っているのに、Fedが踏み切らざるを得ないのはそのせいだ。
 効果がない理由の火等は、債務の重圧に苦しむ家計のハングオーバー効果。すでに過大な債務を負っているので、借り入れ環境が良くなっても、これ以上の借り入れを増やすことはできない。これは日本が20年も付きまとわれている課題だ。これだと、債務がサステナブルな水準に下がるまで、経済活動は抑圧されたままだ。
 Pimcoのビル・グロスは先週、投資家に宛てた手紙の中で、「われわれは現在、流動性の罠にある」と述べている。
 債券バブルなのかを考えるにあたっては、3つの論点を考える必要がある。
 一つは、債券価格は経済のファンダメンタルズに関係しているのだろうか。国債の価値は、インフレ期待と金利に左右されるが、投資家はその投資額に応じて期待を変える。日本は長きにわたって低金利が続いているが、日本が債券バブルという人はいない。経済成長がないと、債券バブルとは言えない。
 2つめは、需給要因だ。債券に対する需要は増加している。規制当局も、保険会社や銀行に、健全性の観点からもっと債券を保有するよう求めている。年金も、ペイアウトに供えて、債券を購入している。
 Fedがこうした動きを後押ししている面もある。一方、供給の側をみると、証券化やストラクチャードファイナンスが縮小しているあおりを受けている。
 最後の論点は、Fedの政策が債券市場のリクスある部分に対し、問題を引き起こさないかという点だ。グロス氏は、多くの債券投資家の先行きは厳しいと考えている。Fedの金融政策は一時的に高いリターンをもたらすという幻想を振りまいたとしても、それは永続的でなく、いずれ死に至る。
 少しでも高い金利を求めようという動きは、ジャンク債や新興国債の過熱感を引き起こしている。歴史的にみて、債券金利が低いときは、年金や保険会社が少しでも高い金利を求めている時期に一致する。
 もし経済が回復できなければ、国債金利は低下したままの一方、会社の破綻は増えるだろう。
 デフォルトリスクが再び注目を集める日々がやってくるだろう。
 問題はいつ潮目が変わるか。