英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

富裕層増税を擁護するイエレン長官

 イエレン長官。財政赤字を封じ込めるために、増税は必要であると述べた。イエレン氏は議会に対し、4.1兆ドルの投資の原資として富裕層への増税を行うべきだと促している。

 ジャネット・イエレン氏は議会に対し、ホワイトハウスが計画する4.1兆ドルの投資計画の財源として増税を支持するよう求めた。長期でみると、財政赤字をまかなうために増税は必要であるとの考えである。

 企業や富裕層に対し、増税を課すというバイデン氏の計画をイエレン氏は支持した格好だ。4.1兆ドルの中身は、1.8兆ドルの社会プログラムと2.3兆ドルのインフラ支出に充てられる。今後10年間にわたる長期計画だ。これに対し、ウォールストリートや共和党、産業界からも批判の声があがっている。

 しかし、イエレン氏は日曜日、さらに踏み込んだ発言を行った。米国の財政状況がこれ以上悪化するのを防ぐ必要であるという主張だ。

 イエレン氏によると、現在は非常に良い財政状態にあり、金利は歴史的にも低い。そして、この状態は長く続きそうであるが、危機時に備え、財政上のスペースを確保する必要があると述べた。連邦政府の財政を持続可能なものにするため、と強調した。NBCでの発言である。

 バイデン政権側からも、1.9兆ドルのインフラ計画をすすめるため、議会と交渉する準備があると述べた。

 バイデン大統領は今週、ヴァージニア州ルイジアナ州を訪れる。彼自身の計画をアピールするためだ。1カ月前にホワイトハウスが公表したインフラ計画に対しては、共和党議員らが対案として5680億ドルの投資計画を発表した。

 https://www.ft.com/content/f8a154ee-2fe9-42c7-9fe0-1786f846150e

 バイデン氏の提案はアメリカの中間層にとって、しっかりとした支えを与えることになる。NYTは評価している。

 50年前と今との、中間層にとっての違いはおそらく、信任があるかどうかだ。ここでいう信任とは、親よりも自身の生活が良くなり、自分の子供は自分の代よりも生活が良くなるという信任である。

 バイデン大統領による数兆ドルに及ぶ経済制作提案は、アメリカの中間層にこの信任を再び強化し、再建することにある。そして、バイデン政権のメッセージは、この債券には民間部門だけが役割を果たすのではなく、政府が中心的な役割を果たす、というメッセージを込めている。

 https://www.nytimes.com/2021/05/02/business/economy/middle-class-biden-economy.html?action=click&module=Top%20Stories&pgtype=Homepage

「SPACブーム」終わりの始まりなのか

 晴れ。

 SPACの価格が冴えない。熱狂が去りつつある。SPAC経由で上場した企業の株価は最高値と比べて、4割近く安い金額で取引されている。

 ブランク・チェック・カンパニー、いわゆるSPAC経由で上場した企業の株価が平均して高値の5分の2ほど安くなっている。米国の株式市場で一時、過熱感もあった市場は急速に冷え込みつつある。

 2020年初めから買収を成功させたSPAC41のうち、3つのSPACのみがピークの株価から5%程度の下落にとどまっている。それらのうち18のSPACは株価が半分となった。中には8割株価を下げたものもある。

 10億ドル以上の企業価値を持つ企業を買収したSPACの動向を調べた結果である。SPACはこれまで米株の熱狂の背景の1つであった。

 まだ決まっていない未上場企業を買収することを約束し、投資家から資金を調達するシェルカンパニーがSPACである。過去1年間でもっとも忙しいビジネスセグメントであった。世界で資金調達された2300億ドルのうち、およそ半分がSPAC関連である。

 2カ月ほど前までは、投資家は熱狂的にSPACを追いかけ、株価は高値をつけていた。電気自動車の開発会社から、ソフトウェア会社、不動産融資会社まで、すべてSPAC経由で上場した。

 しかし、規制当局がSPAC絡みの情報開示や収入の見通しを精査するようになった。そして、機関投資家もより警戒的な姿勢を見せるようになった。その結果、突然としてSPACの新規発行が止まった。

 コロンビア大学ビジネススクールの教授によると、歴史的にマーケットが熱狂するときには、公開した企業の中で業績が芳しくない会社の数が高い傾向にあるというが、このことはSPACブームでも当てはまると指摘する。企業価値が過剰に高くつけられ、市場のセンチメントが熱狂すると、より周辺的な企業が株式上場を目指したがるのだという。

 電気自動車のスタートアップXLフリートは、12月にSPAC経由で上場したとき、株価は35ドルの上場時より7割上昇した。しかし、ここ数カ月は7ドルを下回って推移している。

 https://www.ft.com/content/c7c0f11c-b678-491d-9173-fe49ea29b4b8

インド「モディ政権」自ら招いた油断とコロナ爆発

 インドのコロナ感染に関する続報。これまでにこのようなことは見たことがない、というほどの惨状。

 https://www.ft.com/content/39ad9165-fc31-42ff-86d5-317d32ecfe6d

 コロナウイルスの惨状は、モディ首相の強いイメージを崩壊させつつある。過剰な自信と過ちが、インドを恐るべきコロナ第2波の淵に追い込んでしまった。

 モディ首相のコロナ対策チームは数カ月間も会合を開くことはなかった。3月に、モディ政権の保健大臣は「コロナ感染は終了した」と述べていたのだ。

 https://www.nytimes.com/2021/05/01/world/asia/india-covid19-modi.html

バークシャー「自社株買い」は何を意味するのか

 晴れ。

 バークシャー・ハサウェイ。積み上げた現預金は1454億ドルにのぼり、そのいっぽうで自社株買いを66億ドル実施する。

 バフェット氏の率いるバークシャー・ハサウェイが、第1四半期の決算を発表した。1年前のコロナウイルスの危機の深淵からよみがえり、幅広い市場の上昇の恩恵を受けた。

 土曜日に発表した第1四半期の決算は、117億ドルの黒字となった。1年前の数字が497億ドルの赤字だったのと対照的な結果である。アップルやバンクオブアメリカなどの大手企業向けの株式ポートフォリオを大きく変化させたことが大きい。

 中核となるビジネスでは、保険会社のゲイコやBNSF鉄道、デイリークイーンなどの業績が改善した。

 バークシャーはこれまで米国経済のバロメーターとみなされてきた。住宅ブームの恩恵を受けるなどが典型例だ。住宅建築やペンキメーカーの業績は好調で、住宅建設部門の売り上げは16パーセント増えた。

 https://www.ft.com/content/33bbf579-20c2-40e4-aec6-4ce76161e18f