英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

フェイスブックへの疑念

 曇り。

 フェイスブックが進めるリブラ構想について、米国議会から疑念の声が噴出した。しかし、フェイスブック側は、暗号通貨の開発を停止する考えはないと述べた。

 ワシントンでは2日間にわたって公聴会が開かれた。フェイスブックの構想はユーザーのプライバシーや銀行システム、国家安全保障を脅かすとして攻撃の的になった。

 リブラの暗号通貨の共同開発者であるデビッド・マーカス氏が下院金融委員会の公聴会に出席した。そして、フェイスブックとしては、必要な規制当局の許可が得られるまで、プロジェクトを開始しないと述べた。しかし、計画を止めることに合意はできないとも述べた。

 議会ではフェイスブックや他のテクノロジー企業に対し、デジタル通貨の運用を禁止する法案が検討されている。しかし、これについてもマーカス氏は反対を表明した。

 暗号通貨の開発を進める計画を公表して以降、フェイスブックは大規模な政治的抵抗に遭っている。同社の構想では、国際的な決済は迅速で、ほとんど無料に近い。

 トランプ大統領やムニューシン財務長官、パウウェル議長はこのテーマに関心を寄せている。

 水曜日の公聴会は、マーカス氏にとって計画を説明し、防衛する二回目の機会である。

 公聴会で浮上した懸念は、ドルや銀行システム、ユーザーのプライバシーに対する懸念であった。

 https://www.ft.com/content/809d731e-a8a3-11e9-b6ee-3cdf3174eb89

新興国投資は有効なのか

 曇り。

 ゴールドマン決算。株式トレーディング部門でライバルよりも一歩抜け出している。ソロモンCEOg大ナタを振るうのに先立ち、フィクストインカム部門の不振を補っている。

 第1四半期に株式トレーディングの復活を宣言したゴールドマン。ボラティリティや収益の低下の直撃を受けたコアビジネスだが、150年の歴史を持つゴールドマンは、より幅広い、分散された金融グループへ変貌しようとしている。それはキャッシュマネジメントから消費者向け金融、クレジットカードビジネスまで幅広い。

 しかし、その道筋は容易ではない。第1四半期の決算を受け、投資家は不振のフィクスト・インカム部門の挑戦に引き続き焦点を当てている。そして、昨年10月にCEOに就任したデビッド・ソロモンCEOによる大戦略の公表が遅れていることにも注視している。

 第2四半期決算はより良い結果だった。収益は96億ドルを計上し、前年同期比で2%減少したが、アナリスト予想よりも良かった。一株利益は5.81ドルだった。

 https://www.ft.com/content/7a145192-a7b9-11e9-b6ee-3cdf3174eb89

 新興国投資は依然として有効なのか。

 https://www.ft.com/content/0bd159f2-937b-11e9-aea1-2b1d33ac3271

ジェイミー・ダイモンの後継者

 雨。

 JPモルガンチェースCFO、ジェン・ピープスザック氏が今週、投資家デビューを果たす。JPモルガンウォッチャーとしては、彼女を4月に任命して以降、ダイモン氏との信頼関係を評価しようとしている。

 ピープスザック氏は49歳。その登場は急激であり、静かなものだった。過去10年、ジェイミー・ダイモン氏の後継者候補が何人も浮かんでは消えた。銀行内部では、63歳のダイモン氏の後継者候補の一人として、ピープスザック氏が挙げられている。その他の候補者としては、ピープスザック氏の前任のCFOで、カード部門に異動となったマリアン・レイク氏もいる。

 ピープスザック氏はJPモルガンで25年務めていた。最初の17年間はファイナンス部門に所属した。そして、2011年以降は、最悪の時期に直面していた不動産融資部門に配属されていた。

 不動産ビジネスはデフォルトの増加と手数料収入の停滞により、税前利益は赤字に陥っていた。

 2015年には企業融資部門に配属された。そこではコストの高さと貸し出しの複雑さにフラストレーションをためていたようだ。

 https://www.ft.com/content/bc2af896-84ce-11e9-a028-86cea8523dc2

 シティグループ。シティの貸し出しマージンが厳しくなっている。

 これから到来する四半期決算シーズンを前に、最初に決算を発表した。堅調な利益の成長を示し、消費者部門は回復しているが、トレーディング部門の収益は弱く、ネット金利収益は厳しくなっている。

 https://www.ft.com/content/3c245508-a6f6-11e9-b6ee-3cdf3174eb89

香港のラム長官、辞任へ

 霧雨。

 香港のラム長官が辞任の意向を示した。しかし、政治危機状態にあるにも関わらず、中国政府は辞任を受け入れない考えだ。

 香港行政府のキャリー・ラム長官が辞任を申し出た。香港における大規模なデモがここ数週間続いていることを受けたものだ。しかし、北京政府は彼女の辞任を拒否する考えだ。

 ラム長官の辞任は、中国本土で裁判を受けるために犯罪の容疑者を送還する法案をめぐり、デモが発生したことによるものだ。香港住民の反対は過激化し、今月には香港議会を嵐に巻き込んだ。

 この状況は香港を深刻な政治危機に陥らせた。

 https://www.ft.com/content/e646dbba-a3e4-11e9-974c-ad1c6ab5efd1

ヨーロッパでもっとも危険な男

 雨。

 イタリアの首相は欧州でもっとも危険な人物とみなされている。

 7月8日、ユーロ圏ウォッチャーらは、安心の吐息をついた。19人の財務大臣らが、EUの財政ルールに違反し、2018年に債務を増やしたことに対してペナルティを与えないとのEUの決定を支持したからだ。今年GDPの0.4%分の貯蓄をすることで、決定的な衝突が回避された。

 しかし実際のところは、延期されたに過ぎない。

 https://www.economist.com/leaders/2019/07/11/how-to-defuse-the-threat-that-matteo-salvini-poses-to-the-euro

イールドカーブ、スティープ化

 曇り。

 アメリカのイールドカーブがスティープ化ししている。Fedハト派に傾き、イールドカーブはスティープ化している。

 投資家から神経質に観察の対象になっているイールドカーブが、3年以内の年限でスティープ化した。Fedの利下げにより、米国経済の成長が維持されるとの楽観論が背景にある。

 3か月と10年の国債金利差は、これまで逆イールド状態にあったが、金曜日に一時的にプラスに転じた。取引終了時には1.6ベーシスのマイナスに転じたが、今週初めには19ベーシスのマイナスだった。

 一方、今週の米国株相場は0.8%上昇した。Fedハト派に転じ、これ以上米国経済が停滞しないという安心感につながっている。

 Fedのパウウェル議長は今週、Fedとしては次の金融政策決定会合において利下げを行う可能性があることをはっきりと示唆した。イールドカーブが示す楽観論が広がるにも関わらず、一部の投資家は警戒感を依然として持っている。製造業の指標やインフレ期待に弱さがあるためだ。

 マーケットが示すインフレ期待は1.78%であり、Fedが目標とする2%のターゲットには到達していない。

 投資家は、7月末の会合で、Fed金利を据え置く可能性をゼロとみなしている。市場の見立てでは、81%の確率で25ベーシスの利下げを行うとみている。

 一方、別の投資家は、Fedの動きは力強い米国経済指標をみると、正当化されないとみている。経済に反応して利下げするというより、マーケットのメルトダウンを防ぐための利下げである。

 https://www.ft.com/content/c15a3700-a4ea-11e9-974c-ad1c6ab5efd1

 債券自警団のお話。Fedは市場のいじめの犠牲者となったのか。

 債券市場のいじめの対象は今や、Fedに移っている。

 トレーダーらは現在、米国の中央銀行が今月の会合で利下げすることに賭けている。疑いが仮に残っていたとしても、パウウェル議長が水曜日に発言したことで、それは退けられた。

 議長は世界の主要国における低インフレと世界経済の見通しが後退していることにフォーカスしたからだ。

 しかし、最新の米国の経済指標をみる限り、金融緩和の見通しはまだわからない。金融市場はこの6か月間、Fedの戦略変更で2回ほど驚かされた。最初は利上げサイクルをあきらめたこと。そして、緩和サイクルに転じたことだ。

 市場やFedが直面している根本的な疑問は、マーケットが本当に正しいのかどうかということだ。マーケット市場が示すメッセージははっきりしている。2020年までに4回の利上げがあるという、昨年の見通しをすべてご破算にしたことだ。

 https://www.ft.com/content/a77e81e8-a403-11e9-974c-ad1c6ab5efd1

史上最長の景気拡大

 米国の景気拡大はそうはいっても、史上最長を記録しようとしている。何が景気を腰折れさせるのだろうか。

 7月の終わりには米国経済は121カ月連続の景気拡大となる。1854年以降の数字としては最長記録である。歴史が示すところによると、景気後退は間もなくである。多くの人々の気分は重い。債券市場は警告を発し、長期の金利短期金利と逆転した。

 ただ、株式市場は依然として強気である。今年に入り、19パーセントも上昇した。雇用統計も22万人を超える新規雇用を生み出しており、雇用を生み出し続けるのに必要な数の2倍に達している。

 米国経済は世界の経済の4分の1を占めており、もし米国がこければ、世界もそうなることを意味している。

 世界経済は変化している。成長の源泉はサービスや無形資産に移り、経済成長がゆっくりとしているが、安定したものになっている。まだ記憶に残るバブルのせいで、不動産向け貸し出しが荒くなっている兆候もない。

 しかし、変化がある分、終わりもこれまでとは異なったものになりそうだ。過去のリセッションはほぼ住宅バブルによって引き起こされた。しかし、今回は、世界の企業や金融がグローバルにつながっていることを懸念すべきである。

 危機後の今回の景気拡大期における平均的なGDP成長率は2.3%に過ぎない。過去3回の米国の景気拡大期は3.6%だった。

 https://www.economist.com/leaders/2019/07/11/americas-expansion-is-now-the-longest-on-record